教官との交換日記――心をえぐられる言葉の連続
航空学生の生活では、
全員の身上把握と金銭管理を徹底するために、金銭出納帳を毎週提出させられていた。
ただの家計簿ではない。
そこには、
- 今週悩んでいること
- 頑張っていること
- うまくいっていないこと
そういった心の内も書くよう求められていた。
形式上は「自己管理」「指導」の一環だったが、
実態は教官との交換日記だった。
返ってくる言葉が、容赦なかった
提出したノートは、
教官のコメントが書き込まれて返ってくる。
その内容が、とにかく心をえぐってくる。
例えば、
休日に勉強はしたが、伸びている実感がない
と正直に書くと、
「お前の努力が足りていないだけだ」
と返ってくる。
また、
後輩の指導方法が分からず悩んでいる
と書いただけなのに、
「努力が足りない」
という、
何をどう努力すればいいのか分からない言葉が並ぶ。
ノートを見るのが、怖くなっていった
毎週提出があるため、
逃げ場はない。
週を追うごとに、
- ノートを開くのが怖い
- でも書かないといけない
- もっと頑張らなければと思い込む
そんな状態に追い込まれていった。
正直、
「みんなも同じように厳しく書かれているんだろう」
そう思って自分を納得させようとしていた。
優しい言葉をもらっている同期もいた
だが、現実は違った。
たまたま見えた同期のノートには、
驚くほど優しい言葉が並んでいた。
- 「よく頑張っている」
- 「焦らず続けろ」
- 「成長は必ずある」
それを見た瞬間、
胸の中に疑心暗鬼が広がった。
なんで自分だけ、こんなに否定されるんだ?
認められたくて、答えのない思考にハマる
そこからはもう、
**「どうすれば認められるのか」**を
アホみたいに考え続ける日々だった。
- 書き方が悪いのか
- 努力の方向が違うのか
- 自分の価値が低いのか
答えはどこにもない。
それでも、
この苦痛なやり取りは卒業まで続いた。
卒業と同時に、捨てた
正直に言うと、
あのノートは卒業と同時に捨てた。
見返す気にもなれなかったし、
残しておきたいとも思えなかった。
後になって分かった、残ったもの
今思えば、
この経験のせいかもしれない。
- 物事を細かく考えすぎる癖
- くよくよ長時間悩む性格
- 無駄に高くなったプライド
- 変に怒りっぽくなる一面
社会に出てから、
自分で自分を苦しめる原因になった部分も多い。
それでも、確かに刻まれたもの
ただ一つ言えるのは、
あの交換日記は確実に、
自分の中に消えない何かを刻み込んだ。
良いか悪いかは、
今でも正直わからない。


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