対番が教えてくれたこと――人はやめなければ変われる

航空学生の対番制度で後輩の成長を支える段階的な指導を表したイメージ 航空学生時代

対番が来た日

先任期になってしばらくすると、

いよいよ後輩が入ってくる。

航空学生では、

先任期一人につき、後任期一人が基本的に割り当てられる。

この一対一の関係を、

**「対番」**と呼ぶ。

どんな後輩が来るのか。

正直、それは少し楽しみだった。

対番と初めて会った日

自分の対番は、

第一印象で言えば——少しどんくさそうだった。

動きは遅く、

返事も小さい。

正直に言うと、

「このままだと辞めるかもしれないな」

そう思った。

運動は得意そうではなく、

勉学面も、特別できるようには見えなかった。

本人も相当きつかったと思う。

それでも、

不思議と辞めなかった。

気合いだけで、踏みとどまった後輩

毎日、

叱責される。

遅れる。

失敗する。

それでも、

翌日には立っていた。

気合いだけで、

なんとか食らいついていた。

最初は目立っていた「鈍臭さ」も、

気づけばほとんどなくなっていった。

身体つきも変わり、

表情も少しずつ締まっていった。

水泳訓練という、地獄の時間

航空学生の課業の中でも、

水泳は特に過酷だ。

一定期間、

2時間近く連続で泳ぎ続けることが求められる。

だが、

彼は最初——10メートルも泳げなかった。

本当に、泳げなかった。

当然、

教官からの指導は凄まじかった。

水から上がるたびに怒鳴られ、

また入れられる。

それでも、

彼は逃げなかった。

二ヶ月後に見た光景

二ヶ月後。

彼は、

2時間をゆうに泳ぎ切っていた。

誰よりも遅かった人間が、

誰よりも粘り強く泳いでいた。

正直、

「すごすぎる」と思った。

才能でも、

運動神経でもない。

ただ、

やめなかっただけだった。

昔の自分を見ているようだった

彼を見ていると、

昔の自分を思い出していた。

できない。

遅れる。

怒られる。

それでも、

やろうとする。

できなくても、

続ける。

人は、

やめなければ変われる。

それを、

後輩から教えられた。

対番がくれた、一つの教訓

この経験は、

自分にとっても大きな教訓になった。

「できない」ことと、

「できるようにならない」ことは、違う。

チャレンジし続ければ、

人は必ず変わる。

航空学生という環境は厳しい。

間違いなく、人を削る。

それでも——

人を育てる力も、確かにあった。

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